経営環境の急速な変化に対応するためには・・・

1.リスキリングとは

リスキリングとは、経済産業省で発表されている指針では

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されています。

また、経済産業省の取組として、企業における教育訓練の実態とリスキリングの現状と課題について提唱していて、主にデジタル社会における人材像について述べています。

・デジタル社会においては、全ての国民が、役割に応じた相応のデジタル知識・能力を習得する必要がある。
・若年層は、小・中・高等学校の情報教育を通じて一定レベルの知識を習得する。

現役のビジネスパーソンの学び直し(=リスキリング)が重要。<参考資料:経済産業省の取組 令和4年2月経済産業省 経済産業政策局>

リスキリング(Reskilling)は、個人や組織が新しいスキルや能力を習得することを指します。通常、リスキリングは、技術の進歩や産業の変化に対応するために必要なスキルを備えるために行われます。

従業員が現在の仕事において適応力を持ち、将来の需要に応じて貢献できるようにするために重要で、これは、新しい技術の導入、自動化の進展、デジタル化の影響など、組織の業務や業界における変化に対応するために必要なものです。
例としては、従業員に新しい技術やソフトウェアのトレーニングを提供すること、デジタルスキルやデータ解析の能力を向上させるためのプログラムを実施すること、マルチスキルの開発を促進することなどがあります。

組織においては、リスキリングは競争力を維持し、業績を向上させるために重要な要素となっています。また、個人にとっても、リスキリングは現代の労働市場で競争力を持つための重要な手段となります。

2.リスキリングのメリット・デメリット

リスキリング行うメリット・デメリットは次のとおりです。

リスキリングのメリット
● 競争力の向上: リスキリングにより、組織は最新の技術やスキルを習得することができる。これにより、組織は競争力を維持し、他の企業との差別化を図ることができる。

● 柔軟性の向上: リスキリングによって、組織は従業員のスキルセットを多様化させることができる。これにより、従業員は異なる役割やプロジェクトに対応する柔軟性を持つことができる。

● 人材の定着とモチベーションの向上: リスキリングは従業員にとって成長の機会を提供し、自己啓発を促進する。組織が従業員のスキルアップを支援することで、従業員は組織に対する忠誠心を高め、モチベーションを向上させることができる。

リスキリングのデメリット
● 費用と時間の要求: リスキリングにはトレーニングや教育プログラムの費用がかかる。また、従業員がリスキリングのために時間を割く必要がある。これにより、組織は一時的に生産性の低下やコストの増加を経験する可能性がある。

● 成果の不確実性: リスキリングを実施しても、すべての従業員が同じ程度にスキルを習得するわけではない。一部の従業員はスキルを十分に習得できず、期待した成果を得られない場合がある。

● 既存スキルの陳腐化: リスキリングによって従業員が新しいスキルを習得する一方で、既存のスキルが陳腐化する可能性もある。特に、急速に変化する技術や業界においては、リスキリングが追いつかない場合がある。

組織はこれらのメリットとデメリットを考慮し、リスキリングの計画と実施を行う必要があります。また、組織の戦略や業界のニーズに合わせた適切なリスキリングプログラムを設計することも重要です。

3.リスキリングへの取り組み

リスキリングへの取り組みについて
組織は、効果的なトレーニングプログラムを選択することで、コストと時間の効率化を図ることができます。ISO30414の指標に基づいて、トレーニングプログラムの評価や効果測定を行い、投資対効果を最大化します。

リスキリングの成功には従業員の積極的な参加が重要です。
組織は、従業員の意欲を高めるためにインセンティブや報酬制度を導入し、参加意欲を促進します。

リスキリングプログラムは、組織の具体的な業務ニーズと密接に統合されるべきです。
従業員が実際の業務で習得したスキルを活かすことで、生産性の低下を最小限に抑えます。

リスキリングは一度だけではなく、継続的なプロセスとして捉えるべきです。組織は従業員のスキルアップを継続的に支援し、定期的な評価やフィードバックを提供することで、スキルの維持と成長をサポートします。

これらの対策により、リスキリングの人的資本への投資を効果的に管理し、組織の成果を最大化することができます。

経営環境の急速な変化に対応するためには・・・

『人材版伊藤レポート2.0』においても、リスキル・学び直しのための取組が要素の1つとして示されています。

○ 経営環境の急速な変化に対応するためには、社員のリスキルを促す必要がある。また、社員が将来を見据えて自律的にキャリアを形成できるよう、学び直しを積極的に支援することが重要である。
○ なお、自律的なリスキル・学び直しを促す際には、それぞれの社員が自身の過去の経験やスキル、キャリア上の意向、強い意欲をもって取り組める学習領域等を理解するプロセスが重要であり、会社がそのプロセスを支援することが肝要となる。
(1)組織として不足しているスキル・専門性の特定

(2)社内外からのキーパーソンの登用、当該キーパーソンによる社内でのスキル伝播

(3)リスキルと処遇や報酬の連動

(4)社外での学習機会の戦略的提供(サバティカル休暇、留学等)

(5)社内起業・出向起業等の支援

の概要、重要性、取組み方が示されているので参考になります。

また、厚生労働省では人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)もありますので、条件に該当すれば活用できます。

ただ取り組めば良いものではなく”経営戦略と人材戦略を連動させる”必要性を忘れないでください。

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