”優秀な⼈材の確保と定着”に潜む罠とは・・・

1.リファレンスチェックとは

リファレンスチェックとは、採用候補者の前職の上司や同僚等に連絡を取り、採用候補者の能力や人柄について確認するプロセスです。リファレンスチェックは、採用候補者の経歴書や面接だけでは分からない情報を得るために行われ、採用の合否を判断する上で重要な要素となります。リファレンスチェックはメールや電話、オンラインツールを使って行われることが多いです。

海外や外資系企業ではリファレンスチェックは一般的ですが、最近では日本国内の企業でもリファレンスチェックを実施する企業が増えてきているようです。

また、採用プロセスの一部として行われる調査として、リファレンスチェックと似ているバックグラウンドチェックがありますが目的が異なります。バックグラウンドチェックは、採用候補者の経歴や資格、犯罪歴など、客観的な情報を収集することを目的としています。リファレンスチェックは、採用候補者の人柄や職務能力を評価するのに役立ちます。
バックグラウンドチェックは、採用候補者が嘘をついていないか、問題を抱えていないかを評価するのに役立ちます。

リファレンスチェックとバックグラウンドチェックを併用して行うことで、より確実に採用候補者を評価することが可能となります。

2.リファレンスチェックのメリット

リファレンスチェックを行うメリットは次のとおりです。

● 業務内容:採用候補者の前職でのポジション・役割や具体的な業務内容を確認できる

● 勤務状況:採用候補者がどのような勤務態度で仕事に取り組んでいたのかを確認できる

● 業績:採用候補者が前職でどのような業績・成果を上げていたのかを確認できる

● 能力:採用候補者がどのレベルの能力を持っているのかをより深く確認できる

● 人柄:採用候補者がどのような人柄で、自社の一員としてやっていけるのかを確認できる

● コミュニケーション能力:採用候補者が、他の人と円滑にコミュニケーションをとることができるかどうかの判断ができる

● マッチング度:採用候補者の資質や適性が、自社の求める人物像と合っているかどうかを判断でき、採用後のミスマッチを防ぐことができる


その他、採用候補者自身がモチベーションを高めることができるなど様々なメリットがあります。

3.リファレンスチェック実施の際の注意点

リファレンスチェックを行う際には、いくつか注意点があります。

● 事前に採用候補者の同意を得ること:リファレンスチェックを行う際には、必ず採用候補者の同意を得なければなりません。リファレンスチェックの目的や質問内容なども事前に説明しておくことでリファレンスチェックがスムーズに行われる可能性が高まります。また、採用候補者の同意なしにリファレンスチェックを行うことは、個人情報保護法違反になる恐れがありますので、注意が必要です。

● リファレンスチェックを行う必要性を検討すること:リファレンスチェックは自社で実施するより、第三者機関に依頼することが多いでしょう。その場合には費用が発生します。また、仮に自社で実施する場合でも時間や人員が必要となるため、そこにかかる人件費も費用と考えられます。さらには、リファレンスチェック先の方の回答のタイミングなどにより、リファレンスチェック内容に問題が無い場合でも内定を出すまでに時間がかかる可能性はあります。
例えば高度専門人材、管理職以上にするなどの一定の基準を決めて、実施する方法が大切です。

● 信頼できる人を選んでもらうこと:リファレンスチェックでは、採用候補者の能力や人柄について、信頼できる人に連絡を取る必要があります。前職の上司や同僚、部下がリファレンス先になることが多いと思いますが、候補者は複数上げてもらうことをお勧めします。また、リファレンス先が断る場合もありますので、前々職や取引先まで範囲を広げておく方が安心です。採用候補者には、リファレンス先の方との関係性なども確認しておく方が、信頼できる人を選定してくれているかの目安になります。

● 質問内容を事前に決めておく:リファレンスチェックを行う際には、質問内容を事前に決めておくことが重要です。また、採用候補者に対して得る必要がある質問をうまく投げかけることにより、リファレンス先からの回答をいただく必要があります。これによりリファレンスチェックを効率的に行うことができ、ミスマッチを防ぐことにもつながります。

● 完了したことを採用候補者に伝える:リファレンスチェックが完了したら、採否の結果に関わらずその旨を採用候補者に伝えます。採用候補者がリファレンス先にお礼を伝えたい場合もあるため、完了したことは必ず伝える方が良いです。なお、リファレンスチェックの結果を、採用候補者に伝える必要性はありません。ただ、リファレンスチェック後に不採用とする場合は、今後採用候補者とリファレンスチェック先との関係性を考えて、採否結果を慎重に伝える必要があります。また、採用の場合でも、採用候補者に結果を伝えることにより、貴社に対する採用後のモチベーションアップにつながる可能性も高まるため、結果を伝えても良いかもしれません。

リファレンスチェックを行う際には、上記の注意点を参考に、慎重に行うようにしましょう。

”優秀な⼈材の確保と定着”に潜む罠とは・・・

特に中小企業は、人材不足に悩まされていることが多いです。そのため、応募があれば、すぐに採用してしまいがちです。しかし、応募者の経歴や能力を十分に確認せずに採用すると、後でトラブルになる可能性があります。

例えば、応募者が期待していた役割を発揮できなかったり、経験があると言っていた業務ができなかったり、他の社員とうまくコミュニケーションがとれなかったりすることがあります。このようなトラブルを防ぐためには、リファレンスチェックを行うことが重要です。

リファレンスチェックを行うことで、応募者の本当の姿を把握し、採用のミスマッチを防ぐことができます。

リファレンスチェックは、数万円の費用がかかりますが、採用の失敗を防ぐためには、十分に価値のあるものです。中小企業の方は、リファレンスチェックを積極的に活用し、優秀な人材を採用しましょう。

また、HCMは、人的資本経営の視点から採用に関するサポートも提供しています。HCMを活用して、“優秀な人材の確保と定着”を目指しましょう。