HCM通信 2026年3月号|人に関する経営判断を、整理する
評価制度を触る前に考えるべきこと
◆評価制度がうまく機能しない理由
評価制度の見直しは避けて通れない一方、項目や配点を変えても「納得感がない」「運用が続かない」と感じるケースは少なくありません。
多くの場合、先に必要なのは制度の“形”ではなく、評価で「何を判断し、何を増やすか」という経営の意図を揃えることです。評価制度は判断基準の明文化です。
例えば「成果をどう評価するか」だけでなく、「期待する行動(プロセス)をどの程度重視するか」「例外を認める条件は何か」を先に揃えると、評価者間のブレが減り、説明も一段ラクになります。
【簡易チェック】
□ 目的が「給与」以外で言語化されていない
□ 評価が育成・配置・登用など次の判断に使われていない
□ 「公平性」だけが争点になり、期待する行動・成果の議論が薄い
複数当てはまる場合は、制度を動かす前に「何を判断したいのか」を短く言葉にするだけで、議論が前に進みやすくなります。
◆「今は決めない」という経営判断
すべてを今決め切らず、「保留する論点」と「次に決める条件(いつ・何が揃ったら)」をセットで共有すると、迷いが減ります。
たとえば、役割・等級の整理や運用(面談・フィードバック)の標準化が先の場合、先に“土台”を整えることが結果的に近道になります。
また、制度改定を急ぐほど、現場は“評価のための作業”に追われがちです。まずは面談の観点やコメントの粒度を揃えるなど、運用の標準化から入るほうが効果が出る場合もあります。
【簡易チェック】
□ 議論が堂々巡りで、目的が揃っていない
□ 今変えると現場が回らない感覚が強い(運用負荷が高い)
□ 役割・等級や運用の前提が未整理
評価・処遇の説明が重くなる時期に整えたい「説明の筋」と「記録」
◆揉めるポイントは「結論」より「説明の筋」
評価・処遇は、結論より「どう考えてその結論に至ったか」が曖昧なときに揉めやすくなります。年度末は異動・評価・処遇改定が重なり、説明が重くなりがちです。
説明は「事実/ルール(就業規則・運用基準)/手順(面談・通知等)」の3点を揃えるだけで安定し、説明が“説得”ではなく“納得”に近づきます。
ポイントは、説明の前に「事実(いつ・誰が・何を)」を短く時系列で揃えることです。事実が揃うと、就業規則や運用基準に照らした判断がしやすくなり、説明が感情論に引っ張られにくくなります。
【簡易チェック】
□ 説明が上司の言い回しに依存している
□ 根拠が印象になりがちで、事実に戻せない
□ 面談の要点が残っておらず、後から確認できない
◆記録は“守り”だけでなく、判断を安定させる土台
最低限、①時系列メモ ②面談メモ(日時・参加者・要点・合意事項)③判断メモ(事実/ルール/理由)を残すと、判断の再現性が上がり、やり直しが減ります。
社労士法人では、個別状況に応じて「何を残すと説明が安定するか」「どこがリスクになりやすいか」といった観点から、整理の仕方を助言します。
※2026年4月以降は、社労士法人として労務分野のご相談を中心に対応し、必要に応じて株式会社HCMとも連携します。
【簡易チェック】
□ 判断理由を「事実」と「ルール」に分けて説明できる
□ 例外対応の理由と経緯を残している
□ 記録が担当者の頭の中にしかない(引継ぎで断絶する)
3月の税務と労務の手続期限[提出先・納付先]
10日
・源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
・雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]
16日
・個人の青色申告承認申請書の提出<新規適用のもの>[税務署]
・個人の道府県民税および市町村民税の申告[市区町村]
・贈与税の申告期限<昨年度分>[税務署]
・所得税の確定申告期限[税務署]
・確定申告税額の延納の届出書の提出[税務署]
31日
・健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
・外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
HCMよりひと言
年度末は、評価結果の説明・処遇改定・異動内示など「人に関する判断」が一気に増える時期です。現場の負荷が高いほど、判断が感覚や前例に寄り、説明も毎回つらくなりがちです。だからこそ、このタイミングで“制度を変える/変えない”より先に、「何を判断したいのか(目的)」「どう説明できる形で残すか(事実・ルール・手順)」の2点を短く揃えるだけでも、迷いは減らせます。
とくに評価は、結論そのものより「どう考えてその結論に至ったか」を共有できるかが肝です。面談メモや時系列の整理といった“最低限の記録”があるだけで、説明は安定し、例外対応も振り返りやすくなります。来期の運用を軽くする意味でも、3月のうちに「残すもの」「揃える順番」を決めておくのがおすすめです。
4月以降は、株式会社HCM(人的資本・組織)と社労士法人(労務)が、それぞれの専門性で役割を明確にしつつ、必要に応じて連携していく予定です。気になる点があれば、メール返信だけでもお気軽にご連絡ください。

