令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について

経営者として毎年この時期になると気になる項目「地域別最低賃金」が、7月28日に開催された第67回中央最低賃金審議会において、今年度の目安について答申が取りまとめられ、公表されています。

【答申のポイント】
各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク41円、Bランク40円、Cランク39円。目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は1,002円となります。この場合、全国加重平均の上昇額は41円(昨年度は31円)となり、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となります。

令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)において(一部抜粋)は、

1 令和5年度地域別最低賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一致をみるに至らなかった。
4 中小企業・小規模事業者が継続的に賃上げしやすい環境整備の必要性については労使共通の認識であり、政府の掲げる「成長と分配の好循環」と「賃金と物価の好循環」を実現するためにも、特に地方、中小企業・小規模事業者に配意しつつ、生産性向上を図るとともに、官公需における対応や、価格転嫁対策を徹底し、賃上げの原資の確保につなげる取組を継続的に実施するよう政府に対し要望する。
5 生産性向上の支援については、可能な限り多くの企業が各種の助成金等を受給し、賃上げを実現できるように、政府の掲げる生産性向上等への支援の一層の強化を求める。特に、事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げ、生産性向上に取り組んだ場合に支給される業務改善助成金については、対象となる事業場を拡大するとともに、最低賃金引上げの影響を強く受ける小規模事業者が活用しやすくなるよう、より一層の実効性ある支援の拡充に加え、最低賃金が相対的に低い地域における重点的な支援の拡充を強く要望する。さらに、中小企業・小規模事業者において業務改善助成金の活用を推進するための周知等の徹底を要望する。
6 中小企業・小規模事業者の賃上げ実現に向けて、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇、ものづくり補助金、事業再構築補助金等を通じた生産性向上等への支援の一層の強化に取り組むことが必要である。その際、赤字法人においても賃上げを促進するため、課題を整理した上で、税制を含めて更なる施策を検討することも必要である。さらに、中小企業・小規模事業者がこれらの施策を一層活用できるよう、周知等の徹底を要望する。
価格転嫁対策については、「中小企業・小規模事業者の賃上げには労務費の適切な転嫁を通じた取引適正化が不可欠である」という考え方を社会全体で共有し、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(令和3年 12 月)・「改正振興基準」(令和4年7月)に基づき、中小企業・小規模事業者が賃上げの原資を確保できるよう、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の適切な転嫁に向けた取組の強化を要望する。また、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。

などが示されている。

今回の上げ幅は企業にとって非常に重くのしかかると考えられる。仮にBランク40円で1日8時間・月20日働くとした場合は、月あたり6,400円の賃上げになる。現在最低賃金以上の賃金を支払っているとしても、この金額を目安に昇給を行う企業も多いのではないだろうか・・・そう考えると、このインパクトは大きいと言わざるを得ない。

賃金ももちろんISO30414(人的資本)に関わってくる指標の一つである。